翻訳書ピックアップ!

『クラバート』

(プロイスラー作/中村浩三訳/偕成社)

 物乞いの少年クラバートは、不思議な夢に導かれ、荒れ地の水車場で粉ひき職人の見習いとなる。だが、そこは魔法使いの親方に支配された世界だった。新月の夜中にやってくる謎の大親方、大晦日の晩に起こるおそろしい出来事……。クラバートは少しずつ明らかになる秘密におののきながらも、魔法を学び成長していく。親方との対決をむかえたとき、愛する女の子の助けをかりて、クラバートは自由を勝ち取ることができるのか? ダークな魔法世界で繰り広げられるこの物語は、ドイツとポーランドにまたがるラウジッツ地方の〈クラバート伝説〉を下敷きに、作者プロイスラーが11年の歳月をかけて作りだしたそうだ。(YS)

『IQ』
(ジョー・イデ作/熊谷千寿訳/早川書房)

 アフリカ系アメリカ人の青年探偵アイゼイア、通称IQは、ある事情でまとまった金が必要になり、腐れ縁の男ドッドソンが持ちこんだ仕事を引き受ける。それは巨大な猛犬をつかって大物ラッパーの命を奪おうとした殺し屋を探し出すことだった。現在の物語と交互に語られる過去の物語では、高校生だったアイゼイアが突然悲劇に見舞われ、悩み苦しみ、迷走したすえ、進むべき道を見つけるまでの姿が描かれる。全編に漂うラップのリズムに乗れなくても、とにかく最後まで読んでほしい。アイゼイアと兄の強い絆にほろりとする。(KA)

『海にはワニがいる』
(ファビオ・ジェーダ作/飯田亮介訳/早川書房)

 父も学校の先生もタリバーンに殺されたあと、10歳の少年エナヤットは母にアフガニスタンからパキスタンへ連れだされる。その母もアフガニスタンに戻ってしまい、ひとり残されたエナヤットは仕事を見つけてお金を稼いでは、運び屋を見つけ、イラン、トルコ、ギリシャへと渡っていく。狭いトラックにぎゅうぎゅう詰めにされ、凍死の恐怖とたたかいながら何日も歩いて山越えをし、ゴムボートで海を渡り……。想像を絶する経験を重ねた末、ようやくイタリアで難民申請をしたときには8年が過ぎていた。すべて実際に起こったことである。(KA)

『カラヴァル 深紅色の少女』
 (ステファニー・ガーバー作/西本かおる訳/キノブックス)

 カラヴァルは、年に一度世界のどこかで開かれる魔法のゲーム。勝者は願いをひとつ叶えてもらえるという。特別招待客として招かれた17歳の少女スカーレットは、妹のドナテラと船乗りの青年ジュリアンとともに会場に向かうが、突然ドナテラがさらわれてしまう。妹を救うため、危険なゲームに挑むスカーレット。ジュリアンはいつもそばで守ってくれるけれど、なにか秘密を抱えているようで……。不思議な魔法の世界では、心を惑わされないように気をつけて! どこまでも続くどんでん返しに、心をぎゅっとつかまれてしまいます。(MY)

 

『びんの悪魔』
 (R・L・スティーヴンソン作/よしだみどり訳/福音館書店)

『宝島』『ジキル博士とハイド氏』などで知られるイギリスの作家スティーヴンソンが書いた、ぞくっとする物語。ケアウエという貧しい船乗りが、あるとき航海先で、見知らぬ男におかしな取引を持ちかけられる。この世にふたつとない貴重な小びんをたったの50ドルで買ってほしい、というのだ。その小びんには小鬼が入っていて、びんを買うと、小鬼が持ち主の言いなりになって望みをなんでもかなえるという。ただし、この小びん、他にもちょっと恐ろしい条件があって……。はたしてケアウエは小びんを買うのか。あなたならどうする? (AT)